2023年5月24日
先日のゴールデンウィーク、盛岡市内にはこれまでに無いほど外国人観光客の姿があり、その多くは近隣のアジア各国からの方々のようでした。
5月10日から、台湾といわて花巻空港の国際定期便が再開され、ますます台湾からお客さまがお見えになると思われます。
台湾は、アニメ“千と千尋の神隠し”の舞台“湯婆婆の油屋”のモデルになったといわれる“阿妹茶酒館”があることでも良く知られています。
ところで、台湾と盛岡市・奥州市がそれぞれの郷土の著名な人物と、深い縁がある事をごぞんじでしょうか?
台湾と盛岡市の縁を結ぶ偉人は新渡戸稲造氏、台湾と奥州市は後藤新平氏と、いずれも岩手を代表する偉人です。(以下敬称略)
平成19年まで五千円札の表面に、新渡戸稲造の肖像が使われていましたので、あの人物ね!と思い出される方も多いと思います。
1000円札の人物“夏目漱石”より高額の紙幣に採用されているのが、盛岡市民としては何となく嬉しいですネ。また中高年の方なら新渡戸稲造の「武士道」、後藤新平の「大風呂敷―後藤新平の生涯」をお読みになった事があるのではないでしょうか?
それぞれが台湾とどんなご縁で結ばれていたのか、ご紹介します。
台湾を砂糖王国に変えた「新渡戸稲造」
盛岡の生んだ国際人、新渡戸稲造没後50年を記念して、盛岡市が下の橋町の生誕の地に、市民の浄財で銅像を建立(作者 朝倉文夫)。
今では新渡戸緑地として、盛岡市民の憩いの場となっています。
新渡戸は、岩手県盛岡(現在の盛岡市)に武士の子として生まれ、札幌農学校二期生として入学、同級生には内村鑑三がいました。
新渡戸は23歳で米国へ渡り、その3年後にドイツに留学して農学を学び、日本で最初の農学博士となっています。
台湾民政長官の後藤新平は、政策の中心を産業振興に置き、糖業奨励を推進のため台湾に新式製糖会社設立を企画します。
その立役者になったのが、旧5千円札に肖像が描かれていた新渡戸稲造です。
後藤長官は2年がかりで口説き「1日1時間の昼寝の時間を約束する」という条件を付けて新渡戸を説得し、台湾に招きます。
新渡戸は赴任すると半年かけて全島を巡り、台湾の殖産興業の要は製糖業にあると確信し、意見書「糖業改良意見書」を提出します。
台湾産サトウキビは茎が細くて収穫量も少なく、品種改良が必要でしたが、後にサトウキビ品種の切り替えで生産増に成功します。
1902年には5万5000トンだった製糖生産量は、25年には約8倍の48万トンに、最盛期には年産100万トンを超えるまでになり、台湾の製糖産業を国を支える産業に成長させるのです。
台湾の製糖産業の発展に力を尽くした新渡戸は、今でも台湾糖業博物館(高雄
市)に“台湾砂糖之父”として胸像が置かれています。
新渡戸もう一つの功績は、『武士道』を著したことです。
セオドア・ローズベルトはこの『武士道』に大いに共感し、日露戦争の講和に尽力しました(その功績によりノーベル平和賞を受賞)。
同じくジョン・F・ケネディ大統領も、『武士道』を座右の書の一つに挙げていたことで話題になりました。
もし『武士道』を読んでみたいと思われるのでしたら、AmazonのKindle版(電子書籍)「親子で読める[マンガ]武士道入門 Kindle版’」が読みやすくてお勧めです。
盛岡の先人・新渡戸稲造のご紹介がつい長くなってしまいました。もう一人の郷土の偉人“後藤新平”については、改めてご紹介’したいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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